いらっしゃいませ。貴方のお出でをお待ちしておりました。
君田村の妖怪伝説をお楽しみください。
君田には草相撲の相撲取りたちが仰山おったそうで、村内各地に「相撲の碑」が遺されています。
いろいろ回ったら君田温泉森の泉「別嬪さんの湯」でくつろいでください。
元相撲取りの三井権八に稽古をつけてもらった「いろは山」と「吉見山」が繰り広げる、君田村妖界探索です。貴方もご一緒にどうぞ!
あっしは いろは山 という君田村の素人相撲で鳴らした者でがんす。あっしらは三次太歳町の三井権八という元相撲取りのところへ稽古をつけてもらいに通うたんでがんす。権八親方は隣の布野村生まれで、顔はいかつうて稽古は厳しいが、心根は優しゅうてよう教えてもらいましたよのう。
その頃、権八親方と仲が良かった隣家の稲生平太郎という若い侍さんも一緒に稽古をしておりましたが、何と若いのに勇気がありましてある晩のこと肝試しに権八親方と一緒に比熊山の「たたり石」の前で百物語を語って妖怪の出てくるのを待ったそうでがんす。ここから先は相撲仲間の吉見山に話の続きを譲ります。
次に控えとる
わっちは頭取取締の「吉見山」 で、本名は山本初太郎、泉吉田の生まれでござんす。二人の他にも仲間がおりやんして、「谷の音」「鶴ヶ島」の二人は東入君、「亀井山」は西入君、「浜の音」は茂田の出身でござんす。
さて平太郎さんと権八親方の二人が山から下りてしばらくして、平太郎さんの屋敷へ一月もの長い間妖怪が出やんして、権八親方も手伝うて追っ払うたそうでござんす。
その後平太郎さんは武者修行の旅に出て、権八親方は布野へ里帰りをしんさったんですが、わっちらへ「布野には妖怪がえっと出たが、君田にはおらんかいのう」と便りがありまして、それなら二人して探してみよういうことになったんでござんす。恐ろしい妖怪もおりますが、中にはたまげるほど別嬪さんの妖怪もおるそうで、楽しみでござんす。
それでは先ずは君田村南部の妖怪さがしから始めてみましょうか。